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最高裁判所第二小法廷 昭和63年(行ツ)46号 判決 1988年6月17日

大阪市西成区山王一丁目九番七号

上告人

北畑静子

右訴訟代理人弁護士

坂田宗彦

大阪市西成区千本中一丁目三番四号

被上告人

西成税務署長

岩坂弘

右当事者間の大阪高等裁判所昭和六二年(行コ)第一〇号物品税決定処分取消請求事件について、同裁判所が昭和六二年一二月二四日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人坂田宗彦の上告理由について

古物営業法一条一項にいう古物であつても、物品税の課税物品となり、法定の課税原因が発生する限り、物品税の課税を免れ得ないものであることは、当裁判所の判例(昭和四四年(行ツ)第七三号同四七年一二月一九日第三小法廷判決、昭和四九年(行ツ)第七七号同五二年二月三日第一小法廷判決)とするところであり、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論は、憲法八四条違反をいうが、その実質は単なる法令違背を主張するものにすぎず、原判決に法令違背のないことは、右に述べたとおりである。また、所論は憲法一四条違反を主張するが、第一種の物品につき、その販売業者を納税義務者と定めた物品税法三条一項の規定が憲法一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和二八年(オ)第六一六号同三〇年三月二三日大法廷判決・民集九巻三号三三六頁の趣旨に徴して明らかである。所論は独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 藤島昭 裁判官 香川保一 裁判官 奥野久之)

(昭和六三年(行ツ)第四六号 上告人 北畑静子)

上告代理人坂田宗彦の上告理由

一、原判決は要するに、原告が古物商として販売する古物が、物品税法一条の定める「別表に揚げる物品」に含まれるとして、これに対する課税を認めるのである。しかし、古物に対する課税は、憲法八四条(租税法律主義)、憲法一四条(法の下の平等)に違反することは、上告人本人の確信するところである。以下、右憲法違反たる理由を要約して述べるとともに、末尾に上告人本人の確信するところについて、同人の意見を添付する。

二、憲法八四条違反

物品税法は、租税法律主義の要請の下、第一条において、「別表に掲げる物品」に物品税を課すとしている。そして、別表の第一種物品覧には、類別、品目が詳細を極めて特定されているところである。これは租税法律主義の要請から当然のことである。しかるに、右別表には、「古物」を課税物品として掲げていないのであつて、租税法律主義からして、解釈上、古物をも課税対象とすることは、ゆるされず、古物への課税を認めた原判決は、憲法八四条に違反するものである。

なお、物品税法自身、古物への課税を予定していないと考えられる点については、一審における昭和六一年一二月一一日付上告人の準備書面等で詳述している。

三、憲法一四条違反

古物は、新品とは違つて、小売業者による販売以外に、非業者による販売も性質上予測され、現実に、マニア間の売買等行われていることは公知の事実である。そして、物品税が、そもそも消費者の担税力に課せられる本質からすると、業者による販売と、非業者によるそれとで、課税に区別すべきではない。それを古物商の販売のみに物品税を課すというのであるから、これは、業者と非業者を差別するものであり、かつ、この差別には合理性がなく、憲法一四条の定める平等原則に反する。

四、なお末尾に、上告人本人の考えるところを意見書として添付する。

以上

(添付書類省略)

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